はじめに
社内SEやインフラ担当者として、「VPNって何?」と営業に聞かれたことはありませんか? しかも一度や二度ではなく、説明しても「難しいねぇ」で終わってしまうあのパターン。
私も以前、営業チームから「リモートワークするのにVPNが必要って聞いたけど、それって何?」と質問されて困った経験があります。最初は「Virtual Private Networkの略で…」なんて説明していたのですが、相手の表情を見ると「???」という感じでした。
今回は、VPNの技術的な詳細を知らない営業に対して、どうやってVPNの概念を伝えたのかを紹介します。結論から言うと、「ドアと鍵」の比喩を使うことで、技術的な背景がない人でも理解してもらえるようになりました。
この記事では、「VPN=鍵付きの専用ドア」といった比喩を用いた説明法や、実際に社内で共有したスライドの構成、話す順序なども紹介します。同じような悩みを抱えている方の参考になれば幸いです。
営業がつまずくポイントはどこ?
まず、なぜ営業がVPNを理解しにくいのか、実際の質問から分析してみましょう。
VPN(Virtual Private Network)という言葉を聞いた瞬間、営業がつまずくポイントは主にこの3つです。
なぜ社外からアクセスできるの?
「普通、会社のサーバーって外から見えないよね?それなのになぜ自宅からアクセスできるの?」
これは当然の疑問ですよね。実際、営業の田中さん(仮名)は「家から会社のファイルサーバーに繋がるなんて、なんだか怖い」と言っていました。
インターネット使ってるのに”安全”ってどういうこと?
「インターネットって誰でも使えるものでしょ?それなのに安全って言われても…」
これも理解できます。営業の立場からすると、「誰でも使えるインターネット=危険」というイメージがあるのは当然です。
リモートデスクトップと何が違うの?
「外から会社のPCを操作するなら、リモートデスクトップで十分じゃない?」
実は、これが一番多い質問でした。特に最近は、リモートデスクトップの方が身近になっているので、VPNの必要性を感じにくいんですよね。
これらの疑問に対して、技術者なら「トンネル・暗号化・認証・ルーティング」で片づく話ですが、営業にとっては未知のワードばかり。そこで、身近な例え話を使うことにしました。
ドアと鍵でたとえるVPNの説明法
営業に説明したとき、最も刺さったのは「VPN=鍵付きのドア」という例えでした。
実際の説明の順番で紹介します。
VPNは「会社に続く鍵付きのドア」
まず、こんな図を描いて説明します:
[自宅] ---- インターネット(大通り) ---- [会社の建物]
↓
[自宅] ---- 🚪🔐(VPNドア) ---- [会社の建物]
- 社内LANを「会社の建物」とすると、
- インターネットは「大通り(誰でも通れる道)」です。
- その大通りにあなた専用の”鍵付きのドア”を設けるのがVPN。
➡️「そのドアを開ける鍵を持っている人だけが、安全に社内に入れる」
この説明をすると、営業の佐藤さん(仮名)は「あ、なるほど。家の鍵と同じね」と反応してくれました。「普通の家でも、玄関に鍵がないと誰でも入れちゃうけど、鍵があるから安心でしょ?VPNもそれと同じ」と言うと、すぐに理解してくれました。
暗号化は「周りに聞かれない会話」
ドアを通った後も通信は続きます。その中身は暗号化されていて、
「たとえ通りすがりの人が聞き耳を立てても、会話内容はわからない」
という説明をします。
実際に使った例え話:
「VPNドアを通って会社に入った後、あなたが同僚と仕事の話をするとします。普通なら、通りすがりの人に会話を聞かれる心配がありますよね。でも、VPNでは特別な方法で会話を暗号化しているので、外野には『あー、うー』としか聞こえないんです。」
この説明で、営業もセキュリティの重要性をイメージしやすくなります。
「ただのリモート接続」との違い
営業の中には、「VPNってリモートデスクトップみたいなものでしょ?」と思っている人もいました。
そこでこう言いました:
- 「VPNはドア。リモートデスクトップはその先の社内PCを操作する方法。」
- 「VPNがなければ、建物の外から社内PCには入れない。」
➡️「VPN=入館証」/「リモートデスクトップ=PCのリモコン」とたとえるとすぐに理解してくれました。
営業の山田さん(仮名)は「あー、そういうことか。
まず会社に入る権利をもらって、その後でPC を操作するってことね」と納得してくれました。
実際に使ったスライド構成
説明に使ったのはたったの3枚のスライドです。パワーポイントで作って、社内の勉強会で使いました。
スライド1: 現在の不安(インターネット越しで社内アクセス)
ここでは、営業が普段感じている「なんとなく不安」を言語化しました。技術的な話は一切せず、「危険だよね」ということだけを伝えます。
スライド2: VPNを使うとどうなるか(鍵付きのドア)
ここでは、具体的にどう改善されるのかを視覚的に表現しました。専門用語は使わず、「鍵」「ドア」「暗号化」程度に留めています。
スライド3: 業務にどう影響するか
【営業への影響】
✅ 自宅から安全に顧客データにアクセス可能
✅ 外出先でも社内と同じように仕事ができる
✅ セキュリティ事故のリスクを大幅に軽減
✅ 「在宅勤務OK」をお客様に自信を持って伝えられる
🎯 結果:営業活動の幅が広がる!
最後のスライドは「だから何?」に答えるものです。営業が一番知りたいのは「それで自分の仕事がどう変わるのか」なので、ここを重点的に説明しました。
スライドには専門用語を極力使わず、「鍵」「ドア」「会社の建物」「通行人」などの絵やアイコンだけで構成しました。パワーポイントの標準的なアイコンを使っただけなので、特別なスキルは必要ありません。
説明する時の順序と気をつけたポイント
話す順序
- 不安の共有(5分) 「みんな、自宅から会社のデータにアクセスするの、なんとなく不安じゃない?」
- 解決策の提示(10分) 「その不安を解決するのがVPNです。鍵付きのドアみたいなものです。」
- 具体的なメリット(10分) 「これで皆さんの営業活動はこう変わります。」
- 質疑応答(5分) 「何か気になることはありますか?」
気をつけたポイント
❌ やってはいけないこと
- 技術用語を連発する
- 「簡単に言うと…」を多用する
- 相手の理解度を確認せずに進める
- 「わからない人は後で聞いて」と言う
✅ 効果的だったこと
- 相手の表情を見ながら話す
- 「例えば…」「つまり…」を使って言い換える
- 身近な例(家の鍵など)を多用する
- 「皆さんの仕事にとって」という視点を強調する
特に効果的だったのは、説明の途中で「ここまでで何か疑問ありますか?」と確認することです。営業の方は疑問があってもなかなか質問しにくいので、こちらから聞いてあげることが大切でした。
よくある質問と回答例
実際に営業から受けた質問と、その回答例を紹介します。
Q1: 「VPNって設定が難しそう…」
A1: 「最初の設定は私たちがやるので、皆さんはアプリをインストールしてボタンを押すだけです。スマホでLINEを使うのと同じくらい簡単ですよ。」
実際、現在のVPNクライアントは非常に使いやすくなっています。技術的な難しさは強調せず、「簡単に使える」ことを伝えました。
Q2: 「VPNを使うと通信速度が遅くなるって聞いたけど…」
A2: 「確かに少し遅くなりますが、メールやファイルの閲覧程度なら気にならないレベルです。安全性を考えると、その価値は十分にあります。」
デメリットも正直に伝えつつ、メリットの方が大きいことを強調しました。
Q3: 「お客様にVPNのことを説明する必要がある?」
A3: 「お客様に技術的な説明をする必要はありません。『弊社では在宅勤務でもセキュリティ対策を徹底している』と伝えれば十分です。」
営業の立場では、お客様への説明も重要な関心事です。この点もフォローしました。
まとめ:営業への説明は「たとえ+安心感」
VPNの説明で最も大切なのは、「技術の話」ではなく「安心して働ける環境づくり」だと伝えることです。
技術者としてつい「IPsecが~」「トンネルが~」と話しがちですが、営業が聞きたいのは:
- 「それで何が安心になるのか」
- 「業務がどう変わるのか」
- 「お客様にどう説明すればいいのか」
という現実的な話です。
たとえ話を用いる+営業視点のメリットを強調することで、ようやくVPNの導入に前向きな理解を得られるようになりました。
成功のポイント
| ポイント | 具体的な方法 |
|---|---|
| 身近な例え | 家の鍵、入館証、リモコンなど |
| 視覚的な説明 | 図やアイコンを多用 |
| 段階的な説明 | 不安→解決策→メリットの順序 |
| 相手の立場 | 営業の業務への影響を重視 |
| 双方向の対話 | 途中で理解度を確認 |
おわりに
この記事で紹介した方法を使ってから、営業チームとの技術的な議論がスムーズになりました。VPNの説明だけでなく、他のIT関連の説明でも同じアプローチが効果的です。
例えば:
- ファイアウォール → 「会社の門番」
- バックアップ → 「大切な書類のコピー」
- クラウド → 「どこからでもアクセスできる倉庫」
技術者と非技術者の間には、確かに知識の壁があります。でも、相手の立場に立って、身近な例えを使って説明することで、その壁は必ず乗り越えられます。
この記事が、あなたのチーム内での「技術と非技術の橋渡し」のヒントになれば幸いです。もし同じような経験があれば、ぜひ共有してください。みんなで知恵を出し合えば、もっと良い説明方法が見つかるかもしれませんね。
P.S. この説明方法を使ってから、営業チームから「今度は○○について教えて」と言われることが増えました。技術的な説明が「難しい話」ではなく「役に立つ話」になったのは、とても嬉しい変化です。




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